セルフケアの重要性

こんにちは、ポジティブ心理学博士 山口まみです。

前回のブログ記事「子どもの心のケア」「子どもの心のケアを行うためには、親自身の心理状態がよいものである必要がある」というお話しました。

皆さんも飛行機に乗った際に、非常事態の「酸素マスク」の使い方についての説明を聞かれたことがあると思います。

あの説明では、「子どもさんに酸素マスクを着ける前に、まず大人の方が酸素マスクをご自身につけた後で、子どもさんのマスクを着けてください」と言われるはずです。

それは一見、大人が自分を先に守ろうとする自己中心的な行いに思えるかもしれません。

しかしながら、大人がきちんと機能していないと、助けられるものも助けられなくなる可能性があるから、まずは自分の状態をよいものに確保してください、ということなのです。

今回の震災のような衝撃を経験した子ども達は必ず周りの大人の反応を観察して、「置かれている状況がどういうものなのか」を判断しようとします。

つまり、大人がどのように反応しているかをしっかり見ているということです。

そこで大人が心理的に不安定だったり、過敏に余震に反応していたりすると、それを敏感に察知して、子ども自身も「怖い」とう気持ちや不安心配を抱えるようになります。

だからこそ親御さんには、子どものケアを十分に行うためにも、「セルフケア」をしっかり行っていただきたいと思います。

セルフケアの第一歩は「自分のための時間をとることを自分に許す」ということです。

(Photo by Rumi)

その自分のための時間の中でやることは2つあります。

1)心の中に渦巻いている様々な思いを解放する

2)自分が好きなことを(短時間でもいいから)やる

私たちは年齢・性別などに関係なく「自分の気持ちを分かってほしい」という強い欲求をもっています。

「大人なんだからいつまでも怖がってるのはおかしい」などとはねつけたり、「私より酷い状況にある人たちも沢山いるのだから、これぐらいで悲しむのはいけない」などと抑えつけたりした気持ちは、行き場を失い、いつまでも心の中に淀んだままになってしまいます。

ですから、自分の内面に目を向け、「そんな気持ちを感じているんだね」「その気持ち分かるよ」としっかり寄り添ってあげることが必要です。

または気のおけない友人や家族に話を聞いてもらうのもいいでしょう。

ありのままの気持ちを受けとめ共感することを、心理学用語で情動調律」といいます。

自分の気持ちに寄り添うのが自分であれ他人であれ、共感し受け止めてもらえた気持ちは解放されます。

セルフケアの2つ目は、一日10~30分間でもいいので自分が好きなことに従事する時間を持つということです。

これは、自分の意識を地震にまつわる怖れや心配から、少しでも気持ちが軽く明るくなる事柄にフォーカスするということに繋がります。

個人の生活の立て直しに関しても、今の段階ではコントロールできないことが沢山あります。

でも、それと同時にコントロールできることも確かに存在します。

例えば、避難所でお会いした80代の女性は、「倒壊した家のことを思うと涙が出るけど、毎日日記を書くことで気持ちが随分落ち着いてきた」と言われていました。

また同じく避難所で過ごされていた70代の男性は、「もう家に戻ることは出来ないけれど、区画菜園で育てている野菜の世話をすることが良い気分転換になっている」と話してくださいました。

自分の意識をどこに向け、何を考え、何を感じるかということも、私たちがコントロールできる重要な事柄です。

コントロールできることに目を向け、それを着実に行っていくと、自分の働きかけにより望む変化を起こすことが出来るのだという「自己効力感」が生まれてきます。

そして、この自己効力感がさらなる意欲や希望を生み出し、復興への力となっていきます。

震災後の復興は長丁場です。それは「こころの復興」に関しても同じです。

ですから「ゆっくり優しく」セルフケアを十分に行いながら、復興のプロセスを進んでいけばいいのだと思います。

そのプロセスを経た後には、さらに「強くたくましくしやなかな心」を持った自分が待っています。

そんな希望を胸に、セルフケアを大切にしながら、少しずつ一歩ずつ前に進んでいきましょう。

山口まみ拝
追伸、昨日は熊本県子ども劇場主催の講演会「今こそ子ども劇場の出番です!~時代から求められる子ども劇場の原点とは?~」を聞きにいきました。お話はアフタフ・バーバン代表の北島尚志さん。子どもたちに「遊育環境」を与えることの大切さを熱く、そしてユーモアたっぷりに語られるお姿に感動&共感の連続でした。