子どもの心のケア

こんにちは、ポジティブ心理学博士 山口まみです。

先日、くまもと・オンプネットワーク(県認可外保育園保護者連絡会)の第15回総会にて記念講演「親子ともに元気を取り戻すために今できること」と題して心のケアに関する記念講演を行いました。

(熊本日日新聞)

そこで、「震災後、子どもさんの様子にどんな変化が見られるようになりましたか?」と尋ねたところ

• 夜の寝付きが悪くなった
• 一人でお風呂(シャワー)に入れなくなった
• 兄弟喧嘩が前よりひどくなった
• 感情の起伏が激しくなった
• 攻撃的になった
• 今まで一人で出来ていたことが出来なくなった

などがあげられました。

いずれも親御さんを悩ませるものばかりです。

でも、これらの反応はある意味、震災に対する自然な反応です。

子どもは自分の気持ちをうまく言葉にして表現することが出来ません。

だから、それを行動によって表現しようとします。

大人にとっては、それらの表現は単なる問題行動としてしか目に映らないかもしれません。

でも、「行動の裏に子どもが伝えようとしているメッセージがあるのだ」という意識をもって子どもさんの様子をもう一度観察してみて欲しいのです。

そういった眼差しで子どもを見るようになると、親の言葉がけや態度が自然に変化します。

子どもの行動や態度を頭ごなしに叱りつけるのではなく、「どうしたの?」「何で怒ってるの?」「何か心配事があるの?」「○○ちゃんはどうなったら嬉しいの?」という質問に変わったりします。

すると親が想像しなかったような返事が返ってきたりするものです。

親の注意関心がしっかり自分に向けられている、または、自分の気持ちを分かってもらえたと思うと子どもの心はそれだけで落ち着きます。

そうして安心感を与えられると、子どもの問題行動も自然と減っていきます。

もう1つ子どもさんの心のケアで理解していただきたいのは、震災により子どもさんが受けた衝撃の大きさです。

特に地震に関する予備知識が全くなかった場合、子どもが感じた被災体験の恐ろしさは、地震に関してある程度の知識がある大人の比ではありません。

親としては「地震のことはあまり子どもに話したくない」「あの怖い記憶を再び喚起したくない」という思いがあるかもしれません。

でも、ある程度物事が分かるようになった3歳児以上であれば、地震のメカニズムは(シンプルでいいので)しっかり話してあげた方がいいのです。

なぜなら、人間は未知のことに関しては必要以上に大きな怖れを抱くものだからです。

ですから、地震や余震に関してきちんとした知識を与え、それが起こったときの家族の避難計画などを一緒に話し合えば、子どもの不安は随分解消されます。

我が家の6歳の娘も最初に地震を体験したときは、テーブルの下でガクガクと震えながら「生まれてこなければよかった」「ニュージーランドにいればよかった」と泣いたものです。

でも、その後に主人が地震について簡単な説明をしてあげたら、それをすぐに絵に描いてみせてくれました。

それから自分の本を引っ張って来て、地震に関する部分を読み、私たちに地震プレートなどのより正確な説明をしてくれました(笑)。

そういった一連の行動は娘が地震を理解したり、被災体験を消化したりしていく重要なプロセスだったのだと思います。

それから娘は余震が起こっても怖がることはなく、逆に余震にビクつく大人に向かって「大丈夫、大丈夫!」と言うまでになりました。

子どもの心のケアは、まず子どもが発しているメッセージ(気持ち)を汲みとり、それをしっかり受け止めてあげることです。

そして、地震や避難に関する知識を共有することで、子どもの不安を解消してあげます。

子どもは肉体的にも精神的にも、もともと素晴らしい回復力を備えています。

その力を自然と発揮できるように、まずは「子どもの気持ちを受け止める」ということを心がけ、優しい労りのまなざしを子どもさんに向けていただきたいと思います。

こういった子どもの心のケアを行うには、何より親の心理状態がよいものでなければなりません。親御さんのセルフケアについてはまた次回のブログ記事でご紹介していきますね。

それではまた次回お会いしましょう!
山口 まみ 拝